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●量的緩和解除決定まで
□量的緩和
日本銀行が金融市場に大量に資金供給を行う金融緩和政策のこと。
2001年3月19日の金融政策決定会合で導入。
□経緯
⇒90年代バブル崩壊
90年代後半 デフレ(物価が継続的に下落する現象)が懸念
景気の低迷の原因は、家計や企業にお金が不足しているところにあると考えられた。
⇒日銀はゼロ金利政策(通常の金融政策)
金利をゼロ%まで下げてマネーサプライを増やす政策をとった。市中金利を調整する際に公定歩合を調整することで市中に出回るお金の量を調整して景気動向をコントロールしてきた。
(マネーサプライが増えれば、企業への融資や有価証券への投資などに運用が増えて、景気回復や株価安定につながり、物価下落を防ぐというデフレ対策にもなると考えられた。)
⇒ゼロ金利政策では、低迷する景気を浮揚させることはできなかった
原因:バブル経済崩壊後の市中銀行は、大量の不良債権を抱えていため、手元資金が増えても、リスクの高い企業への融資を控えたため(貸し渋り)
⇒量的緩和政策(異例の金融政策)
日本銀行は、金利ではなく、資金の供給量に着目して、資金量を直接調整する方法を考え出した。日本銀行においてある市中銀行の当座預金残高を増やす方法をとった。日本銀行は、市中銀行が保有している国債や手形を買い入れることで、銀行に資金を供給した。
具体的な方法:
金融政策の誘導目標を無担保コール翌日物(オーバーナイト物)の金利から、金融機関が日本銀行に保有している当座預金の残高の量に変更。
この決定は、消費者物価指数(生鮮食品を除く)の前年比上昇率がゼロ%以上になり、安定するまで続けることにした。
⇒量的緩和政策の導入時点では、4兆円ほどある残高を5兆円に増やすことを当面の目標としていた。
その後、5年にわたり景気低迷が続いたため、2006(平成18)年2月の資金供給量の目標値は、30〜35兆円程度まで増えていた。これは、お金が大量に放出された状態にあることを示している。
⇒2005(平成17)年後半
景気回復の動きが経済指標に現われるようになった。そのため、日本銀行は、金融政策を「通常の金利水準で、通貨供給量を調整する方法」に戻そうと考えはじめた。
日経平均が2003年に底をうってリバウンドした時期にあわせて、景気にも底打ち感が出てきた。それにあわせて銀行はこの「量的緩和政策」の恩恵をもろに受けることが出来るようになった。例えば直近の大手都市銀行の決算がここ最近にない好決算になったのも、量的緩和によってほとんど0%のタダ同然でお金を借りることが出来たため。あとはその資金を法人への融資、個人へのクレジットなど、年利10%以上の高金利で貸すことが出来れば、その利ざやを総取りできるわけですからぼろ儲けすることが出来た。
⇒日本銀行と政府の対立
日本銀行:物価を安定させることを重要視。「景気は回復している」と判断。実体経済に必要なお金が行きわたっていて、これ以上貨幣量を増やすと、インフレ(物価が継続的に上昇する現象)になるか、バブル経済(株式や不動産への投機)の再燃に陥る危険性があると考えている。そのため、日本銀行は量的緩和政策の解除に積極的。
政府:景気をよくすることを重要視。「景気は回復していない」と判断。中小企業や地方経済は低迷したままであり、再び、デフレ(物価が継続的に下落する現象)に陥る可能性があると考えています。金利が上昇すると、企業の採算がふたたび悪化するとの懸念から、政府は量的緩和政策の解除に消極的です。また、政府は、535兆円もの国債という借金を抱えており、金利が1%上がるごとに、金利負担が5兆円増えるという状況にある。
⇒量的緩和政策の解除
日本銀行は、2006(平成18)年3月9日の政策委員会・金融政策決定会合で量的緩和政策の解除を決定。
日本銀行は、消費者物価指数の前年比上昇率が4ヶ月連続してゼロ%以上になったことから、量的緩和政策の解除条件を満たしたと判断。
⇒誘導目標の変更(資金量から金利へ)
金融政策の誘導目標は、金融機関が日本銀行に保有している当座預金の残高の量(2006年2月時点で30〜35兆円程度)から、無担保コール翌日物の(オーバーナイト物)金利に変更。
急激な金利上昇を避けるために、日本銀行は、ゼロ金利を維持し、物価水準の目標を0から2%におくと発表しています。物価が2%に上がるまでは、ゼロ金利を維持するという姿勢を表明。
(参考:フィナンシャル・アーティスト・アカデミー株式会社 よくわかる金融用語より)
●量的緩和解除後どうなるか?
□日銀総裁、利上げに意欲 解除翌日も強気緩めず 2006年 3月10日 (金) 21:35 共同通信
日銀の福井俊彦総裁は10日、参院予算委員会などに出席し、「ゼロ金利政策は異例な政策」「金利はいずれ段階的に引き上げる必要がある」と述べ、量的緩和の解除を円滑に進めた後の利上げに強い意欲を示した。
これを受け同日の市場で長期金利が上昇。指標である10年物国債の利回りは前日より0・050%高い1・655%と、1年7カ月ぶりの高水準となるなど、将来の利上げを見越して期間が長い金利が反応する展開となった。
総裁は10日、国会で約5時間にわたり、与野党議員らの質問に答えたが、解除について目立った批判や反発はなかった。参院予算委では、金利が動かせる水準まで当座預金残高を削減した後、ゼロ金利を続ける期間について「一時的なものになる」との認識をあらためて表明。「ゼロ金利を出発点として先々の経済に合わせて適切な金利水準を設定し、最終目標までスムーズなパスで実現したい」と述べた。
□日銀の判断を尊重 量的緩和策解除で首相 2006年 3月10日 (金) 20:00 共同通信
小泉純一郎首相は10日午後に開かれた参院予算委員会での税制・財政改革などに関する集中審議で、日銀の量的緩和策解除決定について「今までのさまざまな意見、思惑を考慮に入れた議論が十分に時間をかけて行われた。われわれの考えを十分わきまえた上での判断だから尊重したい」と述べ、容認する考えを重ねて示した。
同時に首相は「改革によって経済が活性化してきた。景気がしっかりとした回復の足取りを見せてきたからこそ、金融緩和を終結しようと判断した」と指摘し、構造改革路線の「成果」と位置付けた。その上で「国民生活を豊かにするための改革を今後も続けたい」と強調した。
与謝野馨金融担当相は「各国でも例を見ない異常な金融政策から脱却するのが決定の大義名分だった。日本の金融政策全体が先進国の金融政策に近づく第一歩だ」と述べた。
□(3/10)信託3行、長プラを年2.1%に引き上げ・日生は住宅ローン利上げ NIKKEI NET
三菱UFJ信託銀行、住友信託銀行、みずほ信託銀行の3行は10日、企業向け融資の指標となる長期プライムレート(最優遇貸出金利)を現行の年2.0%から年2.1%に引き上げると発表した。13日から適用する。引き上げは2カ月連続になる。
9日に日銀が政策委員会・金融政策決定会合で、量的金融緩和政策の解除を決定、長期金利が上昇していることなどが背景にある。信託3行は2月10日、長期プライムレートをそれまでの年1.8%から年2.0%に引き上げたばかりだった。
日本生命保険は10日、住宅ローン金利を一部引き上げると発表した。固定金利型は融資期間が「10年以内」と「11年から15年まで」を0.1%引き上げ、それぞれ年3.55%と年4.1%にする。融資期間が16年から30年までの場合は0.11%上げ、例えば「26年から30年」では4.56%にする。長期貸付基準金利連動の変動金利型は0.1%上げ、年2.1%にする。17日の新規融資分から適用する。
□(3/10)政府、金利を注視――国交相「住宅ローンに懸念」 NIKKEI NET
日銀が量的金融緩和政策の解除を決定したことを受け、政府内では10日、今後の金利動向を注視すべきだとの声が広がった。竹中平蔵総務相は「日銀の説明責任の部分で目安を示したことは半歩前進だったが、まだ(日銀には)改革の余地はある」と指摘。物価水準などの「目安」をより明確にしたうえで、今後の金融政策運営を慎重に進めることを求めた。
北側一雄国土交通相は閣議後の会見で「これまで超低金利で住宅ローンを民間から借りられたが、その中には変動金利のものが相当多数ある」と述べ、住宅ローン金利への影響に懸念を表明。住宅需要についても「住宅ローン金利が中長期的に上がることの影響をよく考慮する必要がある」と語った。
谷垣禎一財務相は量的緩和解除について「全体の経済が健全化して金利が健全なものになっていくこと自体は否定すべきことではない」と評価。ただ、「膨大な国債を抱えているため、我が国の財政は金利のリスクには弱い面がある」とも述べた。
●今後の焦点
■日銀のゼロ金利解除はいつになるか?
□(3/11)日銀、解除後も資金供給継続・3月決算期末に向け(07:01) NIKKEI NET
日銀は10日、金融市場に約1兆3000億円に上る資金供給することを決めた。量的金融緩和政策の解除後も資金を急激に減らさないことで、3月決算期末に向けて市場金利の上昇を抑える姿勢を鮮明にした。3月中は金融機関の手元資金量を示す日銀当座預金残高を現状と同じ30兆円程度に維持し、来月から少しずつ減らしていく考えだ。
量的緩和政策の下では当座預金残高を市場の必要額を大幅に上回る30兆―35兆円程度に維持してきた。解除後は必要額の6兆円程度まで減らすが、決算絡みで資金需要が一時的に強まる3月末には金利が跳ね上がる恐れがある。
□(3/11)「新たな政策の枠組み」謎深める 日経新聞夕刊
日本の利上げがいつ実施されるのか。日銀は五年にわたって続けてきた金融の量的緩和政策を解除し、金利を操作目標とする通常の政策運営に復帰した。各国の金利差を材料に動いてきた外為市場では「ゼロ金利解除」の時期を巡る先読みが活発になっている。
二月下旬、一ドル=118円台で推移していた円相場が115円台まで急上昇した。二月二十三日に福井俊彦日銀総裁が量的緩和について「条件が満たされたか判断に至れば直ちに解除したい」と発言。解除は四月が有力と見ていた市場で、にわかに三月節が浮上した。利上げ時期も早まるとの味方が広がり、円を買い戻す動きが強まった。
三月九日に福井総裁は解除後も「極めて低い金利水準による緩和的な金融環境が当面維持される可能性が高い」と述べた。当面はゼロ金利が続くとの味方が広がり、円売り・ドル買いがやや優勢となった。
最大の焦点となる「ゼロ金利解除」はいつか。市場では今秋意以降を予想する声が多いが、日銀が九日に公表した新たな金融政策運営の枠組み」が謎を深めている。日銀は政策委員が安定していると理解する中長期的な物価上昇率を「0−二%前後程度で、中心地は一%前後」と示した。
この数値は金融政策を縛らないと日銀は説明するが、市場は意味を求めてさまざまな解釈を始めている。例えば中心地の一%に注目すれば「一%に近づかないとゼロ金利を解除できない」との味方ができる。加減である0%を意識すれば「少しでも物価が上昇したらすぐにでも利上げが可能」との解釈も成り立つ。
日銀は今後、金融政策決定会合後の声明や「経済・物価情勢の展望」などを通じて先行きの物価見通しを示す。市場はそれを読みこなして金融政策の先行きを見通す。量的緩和の解除時期を巡って巧みに市場をコントロールした福井総裁の発言が以前より重みを増していることは間違いない。
■量的緩和が株価に与える影響とは?
・金利上昇の前に、家を建てる人が増えるので、不動産業界へのかけこみ需要が増えるのではないか?(なんとなくそう思われ・・・)
その他・・・
・量的緩和の解除タイミングに市場はどう影響するのか? ファンドクリエーション、インベストメント・アナリスト木下 晃伸 氏
結論から言えば、「無視」でいい。
たしかに短期的には金利動向は株価に影響を与えるだろう。しかし、それは短期的な動き。
そもそも、株価は私たちひとりひとりの経済活動が織り成す集合体。そして、経済活動に最も影響を及ぼすのは「消費」だ。
景気変動の60%を占める個人消費。そして、人間が起こす消費行動に金利変動は関係がない。
その背景には、人間の「欲」がある。
たとえ金利が高くなっても家が欲しくなれば買う。そのとき裏側には金利上昇に伴う「不動産価格の上昇」という欲が隠されている。
また、車やファッションもそう。最終的にはおしゃれやステータスのために身につけるものだ。
消費活動の根幹を成す衣食住という経済活動は、人間の「欲」が動かす。
そして、それは人口動態というキーワードに集約できる。
実際、米国において「マエストロ(名指揮者)」の称号を得たグリーンスパン議長は金利を機動的に変化させたことで米国景気を18年半に渡ってコントロールしてきた、と言われている。
しかし、米国株価は消費行動がピークを打つ、40-44歳の人口と連動している。金利変動は消費というキーワードに含まれてしまうのだ。日本だって同じこと。人間の欲に国籍などない。
経済指標を評論すると、なにやら経済通のような気がしてくる。それを飯の種にしている評論家も多い。
私たち株式投資の実践者は、株式投資に役立つ本質的な事項だけを知っていればいい。
目先の経済変動などは評論家に任せてしまえばいいのだ。
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