● はじめに ●
これからトレーディングシステムを開発していくにあたって、いきなり自分の頭だけでシステムを構築しろと言われても厳しい部分がある。
まずは、先人の知恵を学び、先人の知恵を吸収することで、トレーディングシステム開発における時間の短縮を図る。
このページでは、「マーケットの魔術師」(システムトレーダー編)より重要だと思う点をレビューしていく。
(注)ここに取り上げたのは、ほんの一部です。詳細については、書籍を読んでください。
参考:
「マーケットの魔術師」(システムトレーダー編)
市場に勝った男たちが明かすメカニカルトレーディングのすべて
ロバート・パルド / チャーリー・ライト / ラリー・ウィリアムズ / ルイス・カルッチ / キース・フィッチン / ウェイン・グリフィス / トム・デマーク / マイク・ディーバー / ボー・サンマン / ビル・ダン / トム・ウィリス / ジョン・ヒル / マレー・ルジェーロ / ゲーリー・ハースト博士 / まとめ
● ロバート・パルド ●
・先物トレーダーは基本的な目標として、最小のリスクで最大の金額を稼ぐことを目指すべき。
・トレードで利益を上げるには、きちんと動くと自分が知っているもの、安心して使えるものをみつけるべき。持続的に役に立ってくれる自分の得意分野をみつけなければならない。それを可能にする優れた手段がシステム。
・どんな市場でも同じシステムを使うが、パラメーターは市場によって異なる。各市場の重み付けも、リスクの違いによって違ってくる。
・各市場に対して、ボラティリティに基づいて、割り当てる資金量を決める。また、各モデルに対して、リスク特性に基づいて割り振る資金量を考える。
・マネーマネジメントとして最低限必要なことは、絶対にオーバートレードしないこと。
・なし得る最高のことは、資金に最高のレバレッジを効かせながら、その一方で、市場での最悪の下落にも耐えられる資金量を確保する方法を考え出すこと。
・ボラティリティはシステムにとって最重要の特性。
ボラティリティの変化への対処法
第一 仕掛けのポイントでのサイズを大きくしたり小さくする
第二 毎年行うモデルの再最適化
第三 市場がトレード可能かどうかを監視する
● チャーリー・ライト ●
・リスクをコントロールするために、トレードする銘柄間の相関関係に気を配る。
・多くの市場で多種類のトレードをするかしてトレードの回数を増やせば、それだけリスクは少なくなる。一定の時間枠の中にできるだけたくさんのトレードを詰め込むことが目標になる。
・結局指標は大事ではない。エントリーも大体同じ。トレードで強みを発揮できるとしたら、リスクマネジメントによる。リスクコントロールとポジションの増減をどうやるかの問題。
・成功したトレーダーの多くは、何種類かの時間枠に基づいたトレードを行っている。
・私たちのプログラムでは、長期的なモメンタムのフィルターを基本として、そのほかに、長期的モメンタムの方向に沿って短期的なトレードを活発に行っている。
・ドローダウンと平均利益率を同じに保つことを基準にしている。年間で30%の利益を上げ、ドローダウンを30%以下に抑えるというのが妥当な目標。
● ラリー・ウィリアムズ ●
・富を作り出すのは、システムではなくマネーマネジメント。
・相場を長期と短期の二重の観点でとらえる。長期的にはファンダメンタルズが相場を動かすし、短期的な変動は感情によって作られる。
・戦略のパフォーマンスに対して一番求めるものは最大損失のトレード。大きな損失のトレードが起こると破滅してしまうから。
● ルイス・カルッチ ●
・市場のボラティリティが低い時期には、どうしてもシステムはうまくいかない。利益の秘訣は、いつそんな時期に入るかを発見したり、今がその時期なのかどうかを見極めたりすることにある。そうすれば、配分を減らすとか、ちゃぶつきに遭わないようにパラメーターセットを長めにするとか、システムを手直しすることができる。
・システムでトレードするときは、自分が望むポジションに従って各パラメーターにあるウエートを与える。
・システムは、ボラティリティをもとにして、資金投下は最大でx%までだと決める。専用のマネーマネジメントモデルが最良のリスク・リワード・トレードを見つけ出し、そのあとでポートフォリオ全体でセクター間のバランスを維持しようとする。
・トレードの資金量は、ひとつには口座残高、二番目はポートフォリオと比較したその口座のボラティリティ、三番目はそのときの相場における私のトレンド・反トレンド・ポジションウエートによって決まる。
・ボラティリティの測り方は、必ず相対的ボラティリティを使う。現在のボラティリティを過去のある期間のボラティリティと比べる。私が使うのは一日の真の値幅の平均値によるレシオ。
・システムトレーダーになるためには、自分の開発能力に確信がもてることだけが重要。
● キース・フィッチン ●
・将来、分析したとおりにトレードできるという統計的信頼性を得るためには、開発サンプル中に何千ものトレードが含まれていなくてはならない。
・システムが利益を出せるかどうかの95%は仕掛けで決まる。私の知っている効果的な仕掛けは11種類。
・大多数のシステムの問題は、カーブフィッティングをしているところにある。
● ウェイン・グリフィス ●
・システム開発者なら誰でも、システムで対処しきれない状況のあることを認めるでしょう。
・長期トレードをやめた理由は、ひとつは、長期トレードに付きものの(幅の大きい)ストップが好みにあわなかったから。高額の含み損を抱えざるを得なくなる。二つ目は、確信の持てるモデルを作りたかったから。トレード回数が多いほど確信が強まるということがわかっていた。将来に対する確信を固めるためには、トレード回数を重ねる必要があった。
・どんな市場でも基本プログラムは同じ。少し変化を付けるために、意識的にストップと利益目標をやや変えている。同じ基本システムから12種類のトレード手法を作り出している。4つの株価指数市場のそれぞれに3種類の手法がある。
・私が先に見るのは良い数字ではなく、最悪のドローダウンと、大幅なドローダウンの回数を見る。
・システムが堅牢であるといえるのは、将来も続くと自分でわかっている原則や行動をもとにしてプログラムを作るのでなければ、良い数字が出ても、それだけでは非常にあやしいといえる。
また、データをコンピュータにかけるとき、私は過去のパフォーマンスの安定性を確かめる。全利益が短期間のうちに生み出されたものだったとしたら、堅牢とはいえない。
・システムとレーダーでも恐怖と欲望の犠牲者になることがよくある。負けて手を引いたら、一切かかわりをもたないようにすべき。敗者のゲームになる。システムに従うことが難しくなっている。
● トム・デマーク ●
・17人のプログラマーを使って4〜5年検証した結果、わかったことは、基本的な4〜5種類のシステムの成績が1番ということでした。
・ダイバージェンスに対する普通の見方が問題なのは、五回連続してひどい買われすぎの指標が出ることを考えない点です。
・システムは普遍的であるべきだ。システムは単純でなくてはならない。もちろん最適化は許されない。
・最適化を避ける方法は、どんな期間をとっても、どんな市場をとってもシステムが機能することを確認する。
・アイデアを思いつくと、3〜4年さかのぼって、その間の過去のデータで検証する。そのあとでアイデアを現在の市場に応用する。
・トレンド相場ではどんな移動平均線でもうまくいく。レンジ相場では買われすぎ、売られすぎの指標が有効になる。肝心なのは、この2つをどう区別するのかということ。
・あるシステムに従おうと思ったら、なぜそれが有効なのか、その理由をしっかり理解する必要がある。
● マイク・ディーバー ●
・ずっと先まで生き延びようと思ったら、ひとつの戦略やひとつの市場だけでポートフォリオを組むものではない。
・システム化というのは、バックテストをした後で、将来に向かって安定的に適用できる継続的なアイデアを意味する。
・トレンドは大衆の感情変化から生まれる。
・私たちのアプローチでは、数量化して正確に検証できないなら、継続的な戦略とはいえません。継続性のあるものを開発するというのが私たちの基本方針なのです。
・私たちの全体的な哲学はあくまで単純なものです。いろいろな収益ドライバーを利用した多様な戦略を、バランスのとれたポートフォリオの中に組み込む、というだけのこと。ただ、個々の戦略に特有の細かい点を理解するのは、必ずしも単純にはいかない。
・ポートフォリオをバランス化するとき、考慮すべき基準が4つある。二つは完全に客観的なもので、他の二つはひどく主観的です。客観的なほうは、どちらも基本的な平均・分散型のモデル化で使われるもので、ひとつは各戦略のリターンプロファイル、もうひとつは戦略間の相関です。主観的な二つの基準のうちのひとつは、各戦略のリターンの重要性をとらえようとするもの。もう一つはイベントリスクのコンセプトです。
・どんな戦略でも、リターンがあったら背景の原因をつかむ必要がある。次のようなことを考えなくてはならない。収益ドライバーはどんな種類のものか。その戦略に固有のリターンをもたらすと考えられるコンセプトはまだ有効か。もし有効なら持続するべき。損が続くのはかなりの危険信号ですし、当然その時期には、収益ドライバーがまだ有効かどうか確認する必要がある。
・メカニカルトレードで生計を立てるためには
第一に、相当な期間にわたって希望どおりのリターンを得たいと思ったら、どれだけの資金が必要か、現実的に考えて見なければないならい。そのためには、自分が使う戦略を完璧に理解する必要がある。最初から2種類のシステムを使うべき。1種類だとまずいのは、どんな優秀なシステムでも、必ず成績の悪い時期があるため。悪い時期には、当然それに従うのがひどく難しくなる。特に資金が十分でない場合はそうなる。
第二に、システム開発で勘違いしないようにすること。システムを開発するのは将来好成績を挙げるためなのに、どういうわけかそのことを見失ってしまう人がいる。過去のデータによる検証で好結果を出そうと血眼になってしまう。最適化とカーブフィッティングのテクニックを使って、特定の市場にあわせた特定のパラメータを選んだり、その値を変えたりする。実際には、戦略のコンセプトを、全部の市場に等しく適用する必要がある。
● ボー・サンマン ●
・成功するには、システムそれ自体と、自分自身が必要。完全なシステムが与えられたとして、果たしてその人に、シグナルに従う勇気があるかどうかが問題。
・システムに指示された方法に100%従ってシステムトレードしないなら、事実上システムをまったく使っていないのと変わらない。
・ある程度の最適化を行って、それを徹底的に検証したとしても、ある時期うまくいってたことが、別の時期にダメになるということがある。一定の回数とか一定の手順までで最適化をやめ、そのあとは、ずっと変えないようにすべきです。
● ビル・ダン ●
・ある意味で私たちの戦略はいつも変わりません。でも、各市場の特殊性は考慮します。基本戦略は同じでも、場合によって違ったパラメーターを使うのです。その結果、トレード回数が変わってきたりします。
・最も忠実なメカニカルシステムの信奉者でも、経歴のどこかで重大な違反をした経験を持っている。そして、皆、仕事をたたむはめに追い込まれる。2,3回そんなことをやってみて、結果がそう悪くなければ、いい気分になります。だから、それを繰り返す。そして少したつと、完全に道に迷って、うまくいかなくなる。
・これが自分にできる最高のことなんだ。過去を見れば、現実的にも理論的にも損をした例は山ほどある。だから損は避けられない。でも、リスクマネジメントをすれば、けっしてそれで破滅することはない。こんなふうに考えることが必要。いつも正しいわけにはいかないという確信が大事。
● トム・ウィリス ●
・システムにかかわったときに、一番大きな課題となるのは、それを信頼すること。
・トレーディングモデルで大事なことは、人間的性質を抑えること。それが一番有望な道。
● ジョン・ヒル ●
・私が学んだことは、仕掛けは非常に難しくて、手仕舞いは簡単にできるようにするのが良いということ。
・システムには絶対にストップが必要だと思うが、使うときは市場の機能をもとにすべき。市場の動きと連動したストップ。金額のストップは市場の条件とは何の関係もない。
・聖杯などないと悟ること。世界の一流マネジャーでも20〜25%の収益しか生み出していない。
● マレー・ルジェーロ ●
・隣接的な数値という条件が嫌だというのでは問題が生じます。なぜなら、可能性としては、やはりどうしても隣接するパラメーター集合による結果が返ってくることになるからです。
・私がたどりついた結論は、トレードモデルとして成功する条件と、成功した人たちの使う方法の根拠を理解しない限り、ニューラルネットモデルを使っても市場で成果を上げることはできないということです。
・パフォーマンスの良かった方法の背後には、次の二つのうちどちらかが存在していた。ひとつは、価格決定の基本モデルに強力なファンダメンタルズの理由があるということ。もうひとつは、人間的性質に反する出来事が市場に生じているということ。
・根本的な前提となるのは、「市場とは何か?」ということ。市場とは、大多数からお金を取り上げて、それを上位5%に与える仕組み。95%の人は、人間本来の心理のせいでお金を失う。
・いったんシステムを作った以上、「なぜ成功するのか」をつかんでおかなくてはいけない。それを発見できなければシステムを使うことはできない。いずれ破綻することになる。
・ルールの数が多いとまずいというよりは、各ルールの根拠となる事例がどれだけあるかという問題。1回の失敗トレードをなんとかするために、フィルターを編み出すことはよくない。個々のルールがトレードに50回とか100回とか使えるなら問題ない。
・「買ったあと、n日間の安値を付けたら手仕舞う」といったトレードルールを立てるだけでなく、それを裏付ける事例が十分にあるかどうかを、しっかり確認する必要がある。確認できれば、1回のトレードをフィルター処理しているわけではない、といえる。でも、十数個あるいは何百個の数の事例を集めるだけでなく、ルールの筋が通っているかどうか、つまり、その有効性を確かめる必要がある。肝心なのは、根拠が何かということ。なぜルールがうまくいったのか、そもそもなぜルールがうまくいくのかを、絶えず自分に問いかけなければならない。
・有効な方法はたくさんあるが、それを発見するためには、人間心理と統計学と経済を理解することが必要なる。
● ゲーリー・ハースト博士 ●
・「どんな市場でも、どんな時点でも通用する」といえるようなものは存在しない。
・全体的なドローダウンとボラティリティが低くなるように戦略を組み合わせることは非常に大事なことです。
・テクニカルトレードは効果的な方法でないから使わない。
・相場から出発して逆行的にトレーディングシステムを開発することはできない。初めに相場の仕組みについての理論や仮説を作り上げてから、それを検証する方法を考える。有効な方法を開発しようと思ったら、そうしなくてはならない。
● まとめ ●
□計画段階
1.複数の市場で検証すること。
2.データ領域が狭すぎたり、特殊な市場環境に偏ったりしないように注意すること。必ずあらゆる種類のトレンド局面やトレード局面、強気・弱気・保ち合いの相場の全局面を観察するようにすること。インタビュー相手の中には、遠い過去よりも最近の相場データが大事だと考える人もいる。だが、どんな場合もデータは多いほど好ましいという考え方にはっきりと反対する人は一人もいない。
3.データ上、良い検証結果の周辺で同じように結果が出ていることを確認すること。マレー・ルジェーロが述べているように、現実のトレードでは隣接するパラメータに出会うことが多いので、その確認を怠るのは問題である。
□トレードの要点 専門家の間のいくつかの一致点
1.十中八九、利益目標は成績を低下させる。
2.口座資産の状況を見てレバレッジの調節をすると、、、つまり何らかの方法でポジションの増減を行うと、、、まず苦境に陥る(絶対にダメというわけではないが、これまでの例によれば、少なくとも私の経験では良い結果につながらない)。動きの始まりと終わりが早くなりすぎて、口座のオシレーターが動きを有効に予測できなくなるのである。
3.システムの根幹をなるのはモメンタムである。反トレンド(カウンタートレード)の手法も、新たな方向性が確立されたあとで(直後の場合もある)、適用が可能になる。
4.従来からある需給中心の市場(特に通貨市場)ではモメンタムの考え方がよく当てはまる。株価指数ははっきりとしたトレンドを作らない。
5.単純が最高。複雑なプログラムを使う人も、核となる個々の要素は十分に基本的なもので、たやすく理解できるコンセプトに基づいていることを認める。
□メカニカルシステムトレーディングの十戒
1.プログラムが発するすべてのシグナルに従わなければならない。自分でトレードの取捨選択をしてはならない。
2.自分の母親、父親、兄弟姉妹、友人、テレビ評論家、ニセのニュースレター預言者、その他のいかなる相手の言うことも聞いてはならない。なぜなら、自分のシステムを本当に正しく動かせるのは自分自身だけだから。
3.ごまかしをしてはならない。1ティックでも少なく利益確定してはならず、ストップロスを1ティックでも上下に動かしてはならない。広きは背きの道、狭き直きは研究結果の道。
4.ギャンブルをしてはならない。市場で冒険に走る者はだれでも、地に墜ちて炎に包まれる。
5.その場しのぎをしてはならない。自分のルールに例外を作ってはならない。トレードが進行している最中に何事も決定してはならない。ある状況におけるシステムの動作が気に入らない場合には、トレードが終わって冷静になれるときに、より適切なルールを作ればよい。
6.研究を長く続けても、注意深さを失わないようにしなくてはならない。いつまでも懐疑心を保ち続けなければならない。多すぎるルール、少なすぎるデータ、良すぎる結果には警戒しなくてはならない。
7.過剰最適化をしてはならない。
8.裁量とメカニカルな方法を組み合わせてはならない。なぜなら、まさに両者の最悪の部分が引き出されることになるからである。
9.慎重さを偽って危険なシナリオを避けてはならない。一番恐ろしく感じられるものによって、自由が与えられるのである。
10.自分のシステムが自分よりも賢いことを残念に思ってはならない。授かった贈り物に対して感謝しなさい。なぜなら、それこそまさに栄光の道だからである。